平成29年4月1にちから貸切バス事業許可に5年ごとの更新制が導入されました。
更新制導入の前に申請されていた事業所様も順次更新手続きを行い、現在(令和7年5月)では一巡して、一度は更新許可を終えられていることと思います。
2回目以降の更新となると、初回の更新と比べて審査基準が厳しくなりますので、行政処分や財務の状況によっては、更新許可を受けられない場合がありますので、早めの対策が必要となります。
幣事務所でも、元々お取引のあった貸切バス事業者様、更新から関与させていただいた事業者様など、何社も更新手続きのお手伝いをさせていただきました。
その経験から、ここでは、貸切バス事業許可更新のポイントについてお伝えさせていただきたいと思います。
貸切バス事業の許可更新制導入の背景
平成28年に発生した軽井沢スキーバス事故により多くの方がお亡くなりになり、国土交通省がバス会社に対して監査に入ったところ、運行管理が適正に行われておらず、多くの違反が見つかり、結局、当該バス会社には許可の取消し処分がなされました。
その前からもこのような事故は発生しており、再発防止策を講じてきた中での事故でもあったため、事故後に設置された軽井沢スキーバス事故対策検討委員会では、二度とこのような事故を起こさないという決意の下、「安全・安心な貸切バス事業の運行を実現するための総合的な対策」をとりまとめ、その中の施策ひとつが事業許可の更新制(5年ごと)を導入し、不適格事業者を排除することだったのです。
その結果、新規許可や更新許可の申請で「安全投資計画」と「事業収支見積書」の作成が義務付けられ、次回更新まで5年間の安全投資に関する計画(運転者・運行管理者等の体制構築、車両の新規取得・代替や経年劣化等に応じた整備、その他)及びその裏付けとなる収入及び支出を記載した書面の提出が貸切バス事業者に求めれらることになりました。
また、更新の審査時には、貸切バス事業を行う上での経理的基礎と更新までの5年間の上記実績についての審査も併せて行われます。
貸切バス事業の許可更新のポイント
更新許可申請の申請期間の確認
貸切バス事業の許可更新申請は、許可を受けた日によって申請期間が決められており、その期間内に申請しなければなりません。
許可を受けた日 | 申請期間 |
---|---|
4月1日 ~ 6月30日 | 2月1日 ~ 2月末日 |
7月1日 ~ 9月30日 | 5月1日 ~ 5月末日 |
10月1日 ~ 12月31日 | 8月1日 ~ 8月末日 |
1月1日 ~ 3月31日 | 11月1日 ~ 11月末日 |
例えば、8月27日に許可を受けた貸切バス事業者様は、5月中には申請する必要があります。
あらかじめ、運輸支局から通知が行われることになっていますが、期限は事業者でしっかりと管理しなければなりません。
申請の準備に相当の時間がかかりますので、遅くとも3ヶ月前には準備を行うようにしましょう。
幣事務所でご依頼をいただいているお客様については、約6ヶ月前にご案内をさせていただいております。
なお、更新許可の標準処理期間は、申請から4~6ヶ月となっておりますが、一旦申請すれば、許可又は不許可の処分がされるまでの間は、たとえ現在の許可の有効期限を過ぎたとしても失効しないことになっています。
代表者が法令試験に合格すること
新規許可と同じく、近畿運輸局で行われる「法令試験」を代表者が受験し合格する必要があります。
不合格となっても翌月に1度だけ再試験が認められますが、合格率が90%以上となりますので、しっかりと準備しなければなりません。
なお、貸切バス事業者安全性評価認定制度において、一ツ星以上を獲得している事業者様については、法令試験は免除されています。
当サポートデスクで申請される方には1発で試験に合格していただくため、「法令試験対策法令集」をお渡しさせていただいております。
ただ、これまで事業を継続されている経営者であれば、法令試験に合格することは難しいことではありません。
過去の試験問題が近畿運輸局に掲載されていますので、こちらの問題を過去3回分程度を解いておきましょう。>>過去の法令試験問題についてはこちら(近畿運輸局WEBサイト)
財務状況が悪くないこと
更新許可の審査時には、直近5年分の財務状況の確認が行われます。
具体的には、以下のいずれにも該当する場合には貸切バス事業の許可は更新されません。
①申請直近1事業年度において債務超過である場合
②申請直近3事業年度の収支が連続して赤字である場合
債務超過とは、貸借対照表の負債の総額が資産の総額を上回る状態のことをいいます。
つまり、すべての資産を手放しても債務を返済しきれない財務状況を示しており、倒産の可能性があると一般的には判断されます。
また、赤字とは、損益計算書の支出が収入を上回り、利益がマイナスの状態となることをいいます。
上記のいずれにも当てはまる場合ですので、連続して赤字であっても、直近決算が債務超過となっていない場合は、他の要件を満たす限り、許可は更新されます。
輸送の安全を確保するために適切な計画及び収支見積りがされていること
貸切バス事業の更新許可申請においては、申請する会計年度の翌年度から6年間の「事業収支見積書」を提出しなければなりません。
いわゆる「事業計画書」ですが、この事業計画書において5期連続で赤字の計画となる場合、貸切バス事業の更新許可は受けられません。
ただ、収支については「貸切バス事業」だけのものでなく、「その他の事業」を含むものでかまいません。
よって、バス事業が赤字であっても、その他事業を含めば黒字である場合には、問題とはされないということです。
とはいえ、単に赤字になっていなければよいかというとそうではなく、当然、その事業計画は審査基準を満たすものであって、きちんと説明できるものでなくてはなりません。
人件費・車両の整備費等が適切に計上されていること
貸切バス事業の許可更新にあたっては、輸送の安全を確保するための計画「安全投資計画」を作成することを求められます。
①運転者、運行管理者、整備管理者が選任計画
②初任運転者高齢運転手の適正診断の受診計画
③運転者の健康診断の受診計画
➃運転者の社会保険の加入計画
⑤保有車両及び新規車両の確保計画
⑥ドライブレコーダー・デジタコの導入計画
⑦その他安全投資に関する計画
そして、安全投資計画に従って事業を遂行することについて十分な経理的基礎があることを示す書類として「事業収支見積書」の作成も必要となります。
①法令上求められる人件費
・最低賃金を下回っていないか?
・社会保険料、労働保険料が適切に支払われているか?
など
②保有車両ごとに以下の額
・車両減価償却費又はリース料
・車両修繕費
など
③安全投資計画を実施するための所要の費用
これらが適正に計上されているかを審査
また、前の許可から5年間の実績を「安全投資実績」及び「「収支実績報告書」により、人件費や車両修繕費などが、所要の単価を下回っていないかについて審査されることになります。
前回更新時から行政処分を受けている場合
2回目の更新からは、前回更新時以降に輸送施設の使用停止処分以上(処分日車数51日以上)又は使用制限(禁止)の処分を受けている場合は、そのままでは許可を受けることはできません。
なお、この処分は、貸切バス事業に関するものだけではなく、他の運送事業(貨物・乗用など)兼業されている場合における兼業事業の処分も含まれることに注意が必要です。
この場合、当該行政処分から更新許可申請までの間に認定機関による運輸安全マネジメント評価を受けることが義務化されます。
運輸安全マネジメント評価を行うことができる認定機関は、こちらで確認できます。
>>安全マネジメント評価認定機関一覧(国土交通省WEBサイト)
貸切バス事業者の安全管理体制が適切に構築されているか、また安全管理の取組状況について、経営トップを含む経営層へのインタビュー等を通じ取組内容を評価する制度です。
また、上記評価を受けているかどうかにかかわらず、前回許可時から更新申請までの間に毎年連続して、上記行政処分を受けている場合は、更新許可を受けることはできませんのでご注意ください。
輸送実績報告書の作成は正確に行うこと
貸切バス事業者は、毎年5月31日までに、前年度の輸送実績を報告しなければなりません。
提出されていない事業者様も多くあるようですが、事業収支見積書は「輸送実績報告書」等の数値に基づいて作成します。
よって、この数値がいい加減なものだと、更新許可にも多大な影響が出ます。
ですので、更新許可申請のことも考えて、しっかりと作成して提出するようにしてください。
貸切バス事業の更新申請はお任せください!
貸切バス事業の開業までには、上記のとおり、多岐にわたるステップを踏まなければなりません。
当サポートデスクは、数多くの旅客運送事業の開業・運営をポートさせていただいております。
地域に密着した行政書士事務所として、貸切バス事業の開業をお考えの事業者様へ、これまでの経験を活かし、安心かつスムーズな開業・事業運営をお約束します。
①貸切バス事業に強い行政書士の知識及び経験を利用できます!
②行政書士の助言により法的リスクを回避できます!
③巡回指導対応など事業運営について相談できます!
当サポートデスクの貸切バス事業の更新許可手続きの基本報酬は、下記のとおりです。
事前にお見積もりをさせて頂きますので、ご遠慮なく幣事務所までお問い合わせください。
なお、ご依頼にあたっては、過去の申請書類や変更届の控えをご用意ください。
貸切バス事業許可更新サポートの内容及び報酬額について
運送業許可手続きの専門家である行政書士が、貸切バス事業許可取得手続きをサポートします。
費用につきましては、初回打ち合わせ時にクライアント様の現状及びご希望をお伺いした上で、お見積りさせていただきます。
貸切バス事業許可更新サポート
業務名 | 基本報酬額 |
---|---|
貸切バス事業更新許可申請サポート基本報酬 ※初回更新・車両台数10台までの場合 | 385,000円 |
車両10台追加ごと | +55,000円 |
2回目以降の更新の場合 | +55,000円 |
※(報酬例)初回更新、車両台数が30台の場合 385,000円+(55,000円×2)=495,000円 |
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