貸切バス事業者は、安全かつ法令に従って旅客を輸送しなければなりません。
事業者が適切に貸切バス事業を運営できているのかどうかを定期的にチェックするために、「道路運送法(以下「法」)」に基づき「一般貸切旅客自動車運送適正化機関(以下「適正化機関」)を設置し、当該機関による2年に1回程度(優良事業者の場合)の「巡回指導」が行われています。
適正化機関とは?
適正化機関は、法第43条の2に基づき、旅客自動車運送に関する秩序の確立に資することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人を指定することとなっています。
現在、近畿運輸局の管轄地域では、適正化機関として近畿貸切バス適正化センタ-が指定されています。
適正化機関では、次の適正化事業を行っています。
①貸切バス事業者に対する巡回指導
②貸切バス事業者以外の事業者の旅客運送行為の防止のための啓発活動
③貸切バス運送に関する秩序の確立に資するための啓発活動
④貸切バス事業者に対する苦情の処理
⑤巡回指導の結果の運輸支局等への報告
巡回指導とは?
巡回指導は、適性化機関による貸切バス事業の許可を受けた事業者に対して定期的(原則年1回)に行う、法令に基づいて事業を実施できているかどうかのチェックです。
通常は、実施の2週間ほど前に実施通知が届き、当日準備すべき書類などの指示があります。
巡回指導の頻度
原則として、毎年度1回実施されます。
しかし、巡回指導の結果、貸切バス事業者安全性評価認定及び運輸安全マネジメント評価などを勘案して、優良バス事業者であると認められた場合には、2年を限度に頻度軽減が図ることができることとなっています。
巡回指導の流れ
巡回指導の実施通知(巡回の2~3週間程度前)
郵送又はFAXで、自主点検表、当日用意する書類等を記載した書面と一緒に実施通知書が届きます。
巡回指導の実施(巡回当日前)
営業所において、適正化事業指導員2名が自主点検表、用意された書類等に基づいてチェック・ヒアリングが行われ、指摘事項があれば改善指導が行われます。
所要時間は、2~3時間程度です。
巡回報告書の提出(巡回後原則30日以内)
指摘事項を改善し、改善報告書にまとめ適正化機関に郵送します。
巡回、改善結果等が運輸支局へ報告される
巡回指導の結果が運輸局等へ報告され、今後の監査等の資料となります。
この結果により、法令を遵守していない等の問題があった場合は、運輸支局による監査が実施されることがあります。
巡回指導の調査項目と帳票類
巡回指導の指導項目は下記10区分で計46項目あります。
1.事業計画等
2.帳票類の整備・報告等
3.運行管理等
4.運送引受書及び営業区域・運賃
5.車両管理等
6.労働基準法等
7.保険加入及び社会保険加入等
8.苦情処理
9.運輸安全、マネージメント等
10.その他
>> 巡回指導の調査事項とチェックポイントについて詳しくはこちら
巡回指導における評価項目
一般貸切旅客自動車運送事業者に対する巡回指導の指導項目は10区分46項目あり、下記のとおりとなっています。
指導項目ごとに巡回指導マニュアルに定められている評価基準に基づき「適」又は「否」として判定されます。
「否」として判定された項目については、改善報告が求められ、巡回指導の翌日から30日以内に改善報告書の提出が求められることになります。
なお、「適」の占める割合により、総合評価(A~Eまでの5段階評価)がなされます。
A:「適」の割合が90%以上
B:「適」の割合が70%以上90%未満
C:「適」の割合が50%以上70%未満
D:「適」の割合が20%以上50%未満
E:「適」の割合が20%未満又は手数料等の支払いにより届出運賃・料金の下限を下回っている事案
常にA以上が基本ですが、DやEの評価となりますと適正に事業を行っていないとみなされて監査の対象になる可能性がありますので、少なくともC以上の評価を得られるようにしなければなりません。
巡回指導と行政処分
「巡回指導」は、あくまでも指導だけにとどまり、適正化事業指導員に行政処分を下す権限はありません。
しかし、巡回指導の結果により、運輸支局による監査が行われて、その結果行政処分が下されることはありますので、巡回指導を甘く見るべきではありません。
まれに、巡回指導を拒否したりすっぽかす事業者もいるようですが、巡回指導は法に基づいて行われるものですので、すっぽかせば、悪質な事業者とみなされることになります。
貸切バス事業者のために、適正化事業指導員が適切に事業を実施できているかをチェックするために定期的に行われるものですの、ケンカ腰になることなく整正堂々と受ければよいのです。
適正化事業指導員は基本的に味方ですので、事業を運営している上での疑問点などを質問すれば、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
巡回指導と監査の違い
監査を受けたことのない貸切バス事業者さんが、「巡回指導」と「監査」を混同されていることがあります。
「監査」は運輸支局により、基本的には無通告で行われます。
「巡回指導」は上記の通り定期的に行われるものですが、「監査」が行われる端緒は、巡回指導の結果や重大な事故を起こしたとき、その他法令違反が疑われる通報があったときなど、じつに多様です。
そして、監査の内容に基づき、行政処分等が行われます。
>> 貸切バス事業の行政監査について詳しくはこちら
貸切バス事業の巡回指導・監査対策はお任せください!
当サポートデスクでも、巡回指導や監査に対する対策だけではなく、日ごろから貸切バス事業を適切に運営するためのサポートもさせて頂いております。
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>> 巡回指導の調査事項とチェックポイントについて詳しくはこちら
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