貸切バス事業者の法令遵守状況の確認を定期的に行い、事業者の事故防止を徹底し安全意識を向上させるための制度として、「巡回指導」があります。

ここでは、巡回指導でチェックされる項目や対策についてご説明いたします。

巡回指導は、貸切バス適正化機関によって、監査対象になっている事業所を除くすべての事業所に対し、原則、1年に1回の頻度で行われることになっています。

ただし、巡回指導の結果、貸切バス事業者安全性評価認定及び運輸安全マネジメント評価等により、優良であると認定された事業所については、2年に1回に軽減されています。

一般貸切旅客自動車運送事業者に対する巡回指導の指導項目10区分46項目あり、下記のとおりとなっています。

指導項目ごとに巡回指導マニュアルに定められている評価基準に基づき「」又は「」として判定されます。

」として判定された項目については、改善報告が求められ、巡回指導の翌日から30日以内改善報告書の提出が求められることになります。

なお、「」の占める割合により、総合評価(A~Eまでの5段階評価)がなされます。

事業者評価の分類

A:「適」の割合が90%以上
B:「適」の割合が70%以上90%未満
C:「適」の割合が50%以上70%未満
D:「適」の割合が20%以上50%未満
E:「適」の割合が20%未満又は手数料等の支払いにより届出運賃・料金の下限を下回っている事案

では、貸切バス事業者に対する巡回指導の指導項目チェックポイントをご確認ください。(青字は特に重要な指導項目です)

>> 巡回指導の概要と流れについてはこちら

1.主たる事務所及び営業所の名称、位置
2.営業所に配置する事業用自動車の数
3.自動車車庫の位置、及び収容能力
4.乗務員の休憩・睡眠施設の位置、及び収容能力
5.乗務員の休憩・睡眠施設の保守及び管理の状況
6.名義貸し、事業の貸し渡し等はないか

・登記簿謄本等
・一般貸切旅客自動車運送事業経営許可申請書
・事業計画変更事前認可申請書
・事業計画変更認可事前届出書
・事業計画変更事後届出書
・役員変更届出書

主なチェックポイントは次のとおりです。

事業計画等のチェックポイント

許可申請書届出書の記載されている内容と現状に相違ないか
車両台帳記載の車両以外の車両が使用されていないか
運行管理車両管理が適切に行われているか

>> 貸切バス事業の事業計画の変更届出についてはこちら

1.事故の記録、保存
2.自動車事故報告書の提出等
3.乗務員台帳の作成、保存
4.車両台帳の作成
5.事業報告書輸送実績報告書の提出

・事故記録簿
・自動車事故報告書
・乗務員台帳
・車両台帳及び車検証の写し
・事業報告書・輸送実績報告書

主なチェックポイントは次のとおりです。

帳票類の整備・報告等のチェックポイント

・各書類に必要事項が記載されており、営業所に備え付けられているか
報告が必要な事故を起こした場合、事故発生から30日以内自動車事故報告書を提出しているか
・事業報告書が、毎事業年度終了後100日以内に提出されているか
・輸送実績報告書が、毎年5月31日までに提出されているか

>> 貸切バス事業において管理・保存が必要な帳票類についてはこちら

1.運行管理規程
2.運行管理者の変更の有無
3.運行管理補助者の変更の有無
4.運行管理者講習の受講
5.運転者の選任状況
6.運転者の勤務時間、乗務時間
7.点呼の適切な実施及びその記録
8.点呼の際のアルコール検知器の使用の有無
9.乗務等の記録・保存
10.運行記録計による記録、保存
11.運行指示書の作成、指示、携行等の状況
12.特定の運転者に対する特別な指導
13.特定の運転者に対する適性診断の受診の有無
14.運転者に対する指導監督
15.乗務員の服務規律

・運行管理規程
・運行管理選任・解任届
・運行管理資格者証
・運行管理者講習手帳
・運転日報
・運行指示書
・運行記録計による記録(デジタルタコメーター等)
・点呼記録簿(デジタル保存)
・点呼状況を記録した録音及び録画データ
・運転者への指導教育計画表・記録簿
・適性診断受診結果表

主なチェックポイントは次のとおりです。

運行管理等のチェックポイント

・自動車の数、運転に付帯する業務等に応じた員数の運転者を選任しているか
・初めて運行管理者になった方や2年に1回、一般講習を受講させているか
・乗務前・常務後に対面(運行上やむを得ない場合は電話等)により点呼が行われているか
・乗務前・乗務後いずれも対面で点呼できない場合に、当該点呼の他に乗務途中に電話等で中間点呼が行われているか
・点呼行った際の状況を録音及び録画した記録90日間保存しているか
乗務記録に必要事項が記録されているか
・事業用自動車に運行記録計が装備されているか
・乗務監督指針(告示)に基づき、一般的な指導監督の内容(13項目)が計画的かつ継続的に実施し、その記録が残されているか

>> 貸切バス事業において管理・保存が必要な帳票類についてはこちら

1.運送引受書の作成、交付等の状況
2.営業区域外運送の有無
3.届出運賃の適正な収受

・運送引受書及び当該運行に係る運行指示書
・運送申込書及び契約書の写し
・運賃・料金設定届出書
・会計帳簿又は領収書(写し)、請求書(写し)、振込書等(運賃又は料金関係)

主なチェックポイントは次のとおりです。

運送引受書及び営業区域・運賃のチェックポイント

・運送を引き受けた際に運送引受書を交付・保存しているか
・実際に収受した運賃・料金が届け出た運賃・料金の下限割れとなっていないか
運賃計算方法が適正か(車種区分違い、総走行距離・端数処理誤りなど)

>> 貸切バス事業の運賃・料金の設定方法についてはこちら
>> 貸切バスの運送引受書交付・保存義務についてはこちら(国土交通省)
>> 貸切バス事業において管理・保存が必要な帳票類についてはこちら

1.整備管理規程
2.整備管理者の変更の有無
3.整備管理者研修の受講
4.日常点検の実施
5.定期点検整備の実施

・整備(車両)管理規程
・整備管理者選任・解任届
・整備管理者資格者証
・整備管理者研修手帳
・日常点検基準
・日常点検表
・定期点検基準
・定期点検整備実施計画表
・点検整備記録簿(3ヶ月、12ヶ月)

主なチェックポイントは次のとおりです。

車両管理等のチェックポイント

・整備管理者の選任・解任・変更等があった場合は、適正に届出がされているか
・初めて整備管理者になった方や2年に1回整備管理者選任後研修を受講させているか
・点検基準に基づき、1日1回、運行前に日常点検を実施しているか
・点検基準に基づき、3ヶ月及び12ヶ月毎の定期点検整備を実施しているか

1.就業規則の制定・届出
2.36協定の締結・届出
3.所要の健康診断を受診、結果の記録・保存

・就業規則
・36協定書
・出勤簿
・健康診断結果

主なチェックポイントは次のとおりです。

労働基準法等のチェックポイント

・36協定(サブロク協定)は、更新し届出がされているか
・所定労働時間、時間外労働、休日労働等が、労働基準法、改善基準告示、就業規則等に従った適正な就労状況となっているか
雇入時の健康診断定期健康診断(1回/年)等を受診させているか

1.賠償責任保険等の加入
2.社会保険・労働保険の加入

・労災・雇用保険加入台帳
・健保・厚生年金加入台帳
・賃金(給与)台帳

主なチェックポイントは次のとおりです。

保険加入及び社会保険加入等のチェックポイント

全車両適正な損害賠償保険等に加入しているか
加入対象者全員雇用保険に加入しているか
加入対象者全員健康保険・厚生年金保険に加入しているか

1.苦情の取扱い

・苦情処理簿

主なチェックポイントは次のとおりです。

苦情処理のチェックポイント

・運輸安全規則に基づき苦情の内容を記録・保存しているか
・苦情の多い運転者等を把握し、適切に指導しているか
再発防止のための措置をとっているか

1.安全管理規程の変更の有無
2.安全統括管理者の変更の有無
3.輸送の安全にかかわる情報の公表及び国への報告

・運輸安全マネジメントに関する公表資料
・安全管理規程
・安全統括管理者選任届出書
・安全管理規程設定届出書
・組織・災害緊急連絡体制図

主なチェックポイントは次のとおりです。

運輸安全マネジメントのチェックポイント

事業年度毎に次の事項が設定・作成されているか
 ア.輸送の安全に関する基本的方針
 イ.輸送の安全に関する目標
 ウ.目標達成のための計画
安全情報が公表されているか
・輸送の安全に係る行政処分を受けた場合は、次の事項を遅滞なく公表しているか
 当該処分の内容
 当該処分に基づき講じる改善内容等
安全管理規程が届出されているか
安全統括管理者が選任されているか

>> 安全統括管理者についてはこちら

1.営業所における掲示(運送約款、運賃表等)
2.車体表示
3.車内表示

確認される主な帳票類

なし

主なチェックポイント

主なチェックポイントは次のとおりです。

その他のチェックポイント

営業所運送約款・運賃等を掲示しているか
車内事業者の氏名又は名称自動車登録番号、禁煙表示を見えやすい場所に表示しているか
車体使用者の氏名・名称又は記号、「貸切」の表示をしているか

貸切バス事業の巡回指導・監査対策はお任せください!

巡回指導」は、あくまでも指導だけにとどまり、適正化事業指導員行政処分を下す権限はありません。

しかし、巡回指導の結果により、運輸支局による監査が行われて、その結果行政処分が下されることはありますので、巡回指導を甘く見るべきではありません

まれに、巡回指導を拒否したりすっぽかす事業者もいるようですが、巡回指導は法に基づいて行われるものですので、すっぽかせば、悪質な事業者とみなされることになります。

貸切バス事業者のために、適正化事業指導員が適切に事業を実施できているかをチェックするために定期的に行われるものですの、ケンカ腰になることなく整正堂々と受ければよいのです。

適正化事業指導員は基本的に味方ですので、事業を運営している上での疑問点などを質問すれば、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。

当サポートデスクでも、巡回指導監査に対する対策だけではなく、日ごろから貸切バス事業を適切に運営するためのサポートをさせて頂いております。

当サポートデスクへご依頼のメリット

①貸切バス事業に強い行政書士の知識及び経験を利用できます!
②行政書士の助言により法的リスクを回避できます!
③巡回指導対応など事業運営について相談できます!

貸切バス事業の運営でお困りの際には、ご遠慮なく当サポートデスクへお問い合わせください。

>> 巡回指導の概要と流れについてはこちら

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なお、幣事務所ではご相談は原則として有料で行っておりますが、業務内容(業務の流れ、概算費用など)についてのお問い合わせは無料で行っております。

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